個人破産手続きをするにあたって、公共料金の支払いに遅れがある場合、これらの債権も破産債権として免責されるのか、免責されるとしても債権者として含めるべきなのかが
・・・(続きはこちら) 個人破産手続きをするにあたって、公共料金の支払いに遅れがある場合、これらの債権も破産債権として免責されるのか、免責されるとしても債権者として含めるべきなのかが問題となります。
今回は、前者の公共料金が破産手続きを行っても免責されない非免責債権に当たらないかを検討します。
個人破産をしても免責されない非免責債権については、破産法253条1項但し書きに規定されています。
同規定には明確に「公共料金」については規定されていません。
しかし、253条1項1号に、「租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く)」が非免責債権であることが規定されています。
公共料金(電気料金、ガス料金、水道料金等)が、253条1項1号の租税等に該当するかどうか判断するにあたって、純粋に私企業が供給する電気、ガスがこれには当たらないと考えて問題ないと思います。
これに対して都道府県や市町村が運営に関わる水道料金、下水道料金については、租税等に含まれるかが問題となります。
この点、社会保険料などと同様に国税徴収法の例により強制徴収できる債権については租税に準じていると考えられ、租税等に含まれると判断するのが一般的です。
そうすると、国税徴収法の例による強制徴収ができる旨の規定がない上水道の料金は、破産法253条1項1号の租税等に含まれませんが、下水道料金は地方自治法付則6条3号、地方自治法231条の3第3項により国税徴収法の例による強制徴収ができることから、破産法253条1項1号の租税等に含まれることになります。
上水道で使った水を下水道を使って流すのが通常ですし、料金の請求書も一緒に届くことは多いと思いますが、支払いが遅れた場合、一方が破産をしても免責されない非免責債権となり、他方は免責債権となるのは、しっくりいかない感じがしてしまいますが、法律で規定されている内容からくる違いなので、法律が変わらない限りこれに従うことになります。
破産をするにあたっては、今回取り上げた公共料金の非免責債権か否かの判断のように、簡単に判断できない場合もあります。
そのため、「借金以外にも、何か滞納状況になっているものはないか」をよく把握して弁護士に相談する方がよいと思います。