これまで、刑事罰のうち、有期もしくは無期で一カ月以上刑事施設に拘置する刑の種類は、「懲役」あるいは「禁固」のいずれかでした。しかし、令和7年6月1日からは懲役、
・・・(続きはこちら) これまで、刑事罰のうち、有期もしくは無期で一カ月以上刑事施設に拘置する刑の種類は、「懲役」あるいは「禁固」のいずれかでした。しかし、令和7年6月1日からは懲役、禁固のいずれも「拘禁刑」に一本化されました。懲役刑は、刑事施設内での労務を強制される刑であり、禁固刑は、刑事施設内での労務は強制されないが、任意で行うことができました。拘禁刑は、これまでのように犯した罪の内容で労務が義務となるか否かの判断ではなく、受刑者の特性に応じて、刑事施設内でどのように処遇するかを個別にプログラムされます。受刑者の再犯防止や円滑な社会復帰を意図した法改正です。
このような、改正がなされた背景には、刑期を終えて出所してもスムーズに社会復帰することができず、その結果、再度罪を犯してしまうことが非常に多いことにあります。成人は少年のように可塑性が高くはないとは思いますが、一度実刑になってしまうと、出所後の社会復帰が難しい状況に陥ってしまう方が多いのは事実と思いますし、人によってどのような形が社会に復帰をしやすいのかも異なるところかと思います。したがって、これまでのように一律ではなく、個別のプログラムで刑期の処遇を受けることは有意義と思うところです。
ただ、被害者の事情も考慮しながら一人ひとり個別のプログラムを立てることは刑事施設の職印の方にとっては大変な作業かと思います。また、これまでのように一律でないことに受刑者からの不満がでてくることも考えられます。そこのところの体制づくりができていないと現場が混乱するのではと懸念も感じてしまうところです。
とはいえ、「懲役」というと意思に反して働かされるイメージを持ってしまいます。誇りをもって、職人的な仕事をしている受刑者も多いと思いますので、懲役刑という名称ではなくなっただけでも良かったと、個人的には思っています。また、弁護士としても社会復帰を見据えた刑事弁護をしていくことが必要だと痛感しています。